入院治療を経て高安動脈炎と向き合う日々
高安動脈炎という、聞き慣れない病気をご存知でしょうか? 私は10年前にこの病気を発症し、入院治療を経て、現在も高安動脈炎と向き合いながら生活しています。 この体験談が、同じ病気で苦しむ方やご家族の方にとって、少しでも力になれば幸いです。
正確な医療情報は主治医から得ることを前提に、私の経験に基づいたお話としてお読みいただければと思います。
高安動脈炎を抱える私の体験談
高安動脈炎は、主に若い女性に発症する、血管の病気です。 体の大きな血管が炎症を起こし、狭窄(狭くなること)や閉塞(詰まること)を引き起こします。 私の場合、最初は肩や首の激しい痛みに始まり、その後、発熱や倦怠感などが現れました。
これらの症状は、風邪や他の病気と間違えやすく、実際に私も1ヶ月近く38度の熱が出ていたにも関わらず、あちこちで風邪と診断されて適切な診断にたどり着くまでには時間がかかりました。
初期症状は人によって様々で、頭痛、顔面蒼白、視力障害、動悸、息切れなど、様々な症状が現れる場合があります。
初期の診断が遅れると、血管の狭窄や、大動脈瘤ができたり、肺高血圧や心臓の弁に問題が出てきたり。
深刻な合併症を引き起こすと外科的な治療も必要になってくる可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に大切です。
発病から10年。今気をつけていること
高安動脈炎と診断されてから10年が経ちました。 今では、症状は落ち着いていますが、油断はできません。 現在、私が特に気をつけていることは以下の通りです。
【定期的な通院】主治医の指示に従い、定期的に通院し、血液検査や画像検査を受けています。 これによって、病気の進行状況を把握し、早期に異常を発見することができます。
私は実際に、2ヶ月おきに通院しています。減薬や、何か不安材料があるときは2週間〜1ヶ月の間で通院することもあります。
【薬の服用】ステロイド薬などの薬を服用し、炎症を抑えています。 薬の服用は、高安動脈炎の治療において非常に重要です。 ステロイドは副作用が多く、悩まれる方も多いと思いますが、離脱症状もひどいです。
そのため、医師の指示通りに服用し、自己判断で服用をやめたり、量を変えたりしないことが大切です。
【健康的な生活習慣】バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけています。 健康的な生活習慣は、病気の悪化を防ぎ、体の免疫力を高める上で非常に重要です。
当たり前に言われている健康習慣ですが、ひとつでも欠けるとバランスが悪くなってしまいます。特に、睡眠時間は最も重要だと感じています。
【ストレスの軽減】ストレスは、病気の悪化につながる可能性があります。
実際に、高安動脈炎に限らず、膠原病の患者さんは季節の変わり目や、5月など、生活環境が変わるタイミングで悪くなる人が多いようです。そのため、ストレスをため込まないように、趣味やリラックスできる時間を作るように心がけています。
【定期的な健康診断】高安動脈炎は、他の病気と合併しやすい傾向があるため、定期的な健康診断を受けて、早期発見・早期治療に努めています。
私の場合は発症から6年ほど経ったあと、半年に一回の造影CT検査で悪性リンパ腫を発見しました。定期検診がなかったら発見が遅れていたかも?と考えると恐ろしいです。
妊娠・出産に対しての向き合い方
高安動脈炎は、妊娠・出産に影響を与える可能性があります。 妊娠を希望する場合は、主治医とよく相談し、適切な治療を受けながら妊娠・出産に臨む必要があります。 妊娠中は、薬の服用方法や、定期的な検査の頻度などが変わる可能性があります。 医師の指示をきちんと守り、定期的な検査を受けることが大切です。 私の場合は、医師と綿密に相談しながら薬の服用方法も変え、妊娠後も出産に備えるために何度も主治医と相談しました。ギリギリまで悩んで無痛分娩を選択して出産に臨み、無事に子供を産むことができました。
しかし、妊娠中は免疫力が下がるので症状が軽くなる人が多いと言われている中、私は少し悪化して、結局妊娠中にステロイドを増量しました。
妊娠中は、他にも新たな合併症が発生するリスクもあるため、常に注意深く経過を観察する必要があります。
家族の支えと理解の重要性
高安動脈炎は、患者本人のみならず、家族にも大きな負担をかける病気です。 私の家族は、病気のことをよく理解し、常に支え続けてくれました。 特に、夫の理解と協力は、私にとって大きな支えとなっています。 家族の支えと理解は、病気と向き合う上で不可欠です。 高安動脈炎の患者さんは、病気の症状だけでなく、周囲の理解不足による精神的な負担も抱えていることが多いです。 そのため、家族や周囲の人々の理解と協力を得ることが、治療の成功に繋がる重要な要素となります。
高安動脈炎の治療法と最新情報
高安動脈炎の治療法は、主に薬物療法です。 ステロイド薬が中心となりますが、場合によっては、免疫抑制剤なども併用されます。
私の場合はステロイド50mgからスタートし、2ヶ月後に35mgくらいまで落としてから退院。
その後外来で1〜2mgずつくらいゆっくり減らしていき、現在7mgです。
以前7mgまで下げた時に半年ぐらい経ってから再発し、また50mgの振り出しに戻りました。この時、急いで減らしても振り出しに戻ったら余計に時間がかかるなと感じたので、その後はかなりゆっくり減らすことを心がけています。
近年では、生物学的製剤のアクテムラなどの新しい治療法も開発されており、治療の選択肢は広がりつつあります。 最新の治療法については、主治医と相談して、最適な治療法を選択することが重要です。
高安動脈炎の症状と早期発見の重要性
高安動脈炎の症状は、初期段階では風邪や他の病気と間違えやすい場合があります。私は家の近くの総合病院で血液検査をしたら、CRP(炎症反応)が10以上あって、膠原病か悪性の癌の可能性があるって言われてすぐに大学病院を受診しました。
大学病院でも1日では判断できず、2日かけて高安動脈炎と診断されました。
これでも私は早い方で、たらい回しにされて全然わからずに何ヶ月も経過してしまうこともよくあるみたいです。
まとめ:高安動脈炎と共存する日々
高安動脈炎は、決して楽な病気ではありませんが、適切な治療と生活習慣の改善、そして家族や周囲の理解と支えがあれば、症状をコントロールし、普通の生活を送ることが可能です。 この体験談が、同じ病気で苦しむ方や、ご家族の方にとって、少しでも希望の光となれば嬉しいです。
**注記:** この体験談は、個人の経験に基づいて書かれたものであり、医学的なアドバイスではありません。 高安動脈炎に関する正確な情報や治療については、必ず医師にご相談ください。